ーー三上さんの〈essence:〉に通われる以前のお写真、セッション後のお写真、現在も継続して通われていらっしゃるということで、現在のお写真と、合わせて3枚を拝見させていただきました。率直に言って「こんなにも人は変わるのか」と驚きました。メイクが合っている、髪型が合っている、ファッションも合っているという、外見的な変化はもちろんですが、特にセッション後の自信に溢れた表情が印象的で。内面の変化も大きかったのではないかと想像しているのですが、三上さんご自身の実感はありますでしょうか。
三上緑(以下、三上) もちろんです。高城さんのメイクって、変わった色を使っているとか、奇抜なものだということはないんですね。だから、初回に髪をカットしていただいて、メイクもこれで行きましょうと決まった時に「全く違う私になっちゃった」とか「外を歩くのが恥ずかしい」というような感じがなかったんです。自分的には、ささやかな変化くらいに思っていたんですけれども、せっかく綺麗になったということで、お花の前で写真を撮っていただいて、その場でFacebookやLINEのアイコンを変えたんです。そうしたら「整形したの?!」というメッセージが沢山届いたんですね(笑)。それで「人から見て、こんなに違うんだ」と驚きました。自分が受け入れられないような変化をさせるのではなく、的確に構築していくということがなされた結果だと思うのですが、外から見られた時のインパクトがものすごく大きいんだと、客観的に知ることができました。
ーー高城さんとのセッションはいかがでしたか?
三上 メイクは自分で出来ないとダメだからということで、継続が出来るように教えてもらいました。でも、初回のセッションから3ヶ月後ぐらいでしたっけ? こちらに伺った時に、高城さんから「最早ね、髪型とかメイクじゃないんですよ」と言われて、その言葉がバーン!と入ってきたというか。結局、自分の在り様なんだなってすごく思ったんです。 もちろん、高城さんに「(おさらいで)この間やったみたいにやってみてください」と言われても、同じようには出来ないから緊張するんですけど(笑)、メイクの技術を置いておいても「変わったでしょ」という、そこがセッションの重要な中身なんじゃないかなと思います。
ーーメイクそのものの捉え方に変化はありましたか?
三上 これまでも、決して無頓着だったわけではないんですよ。それこそ、雑誌などで今年の流行色や、眉の描き方などを調べたりもしていました。だけど、今はそういうのはどうでもいいわけで。セッションを元に、化粧品カウンターで「この色とこの色をください」と指定する。そうすると「こちらも是非お試しください」と試供品を渡されそうになるんですけど「大丈夫です」とお断りする(笑)。それで「どこか通われているんですか?」と、逆に店員さんに聞かれるんですね。「実は指導していただいていて」と答えると「これはどこに使うんですか? どうやって使うんですか?」と質問攻めにされて(笑)。
ーー(笑)。デパートの化粧品売り場には、お試しに行かれる方が多いですもんね。
高城裕子(以下、高城) こちらの答えは決まっているし、しかも、それが似合ってしまうから、珍しいお客さんかもしれないですよね。
三上 (店員さんには)本質的なことは、きっと伝わっていないと思います。使い方を聞かれるくらいですから。色んな色を買っていったお客さんにしか見えないかもしれない。
高城 でも、こちらには「何をどうしたらどうなって、どうしているから面白味もある」など、すべてのチョイスに理由があるんです。一般的な「綺麗」の概念ではなく「三上緑さんを作る」という理由で選んでいます。
ーー内面への作用はありましたでしょうか。
三上 そうですね。まずは初回、こちらに伺う前に、オンラインで2時間くらいかけてお話を聞いていただいて。「これからどうなりたいか」だけではなく「なぜ、いまの私になったのか」までを遡るんです。それで「今はこういう悩みがあります」「でも、どうすればいいかわからない」というところまで見えた上で、セッション当日を迎えるわけです。すると、高城さんは、ここまでのことをすべてキャッチした上で、髪やメイクをこうしましょうと提案してくれる。また、セッション中も沢山お話をさせていただくんですけど、帰るときには「なんでもできるぞ私!」という気持ちになっています。それは毎回そうですね。
ーーリフレッシュにもなりますか?
三上 リフレッシュというよりは、エネルギーをもらいます。「何でも大丈夫」と思えますね。色々な現場に携わり、キャリアを積まれてきた高城さんだからこその説得力があるというか。
高城 代わりがいない、その人じゃないといけないようなプロフェッショナルばかりと会ってきたことで、人の本質を見抜く力が培われたのかな、と。私がやっていることは、サロンを訪れるみなさまご自身で気付かれていない個性を、ご自身にも、周りの方にもきちんと気付かせる。伝えようとするのではなく、伝わるものに形を変えるという感じですね。
三上 カットしてもらいながら、こういうお話を聞くと、スッと腑に落ちるわけですよね。ここでのセッションを受けて、髪の色がかなり明るくなったんですけど、うちには高校生の子供がいるので、保護者として学校に行くことがあるんです。以前の自分だったら「この髪色じゃ目立ってしまうかな」とか考えたかもしれないけれど、今は「別に私、普通の人じゃないから」みたいな(笑)。お母さん業100%で生きている人じゃない。そういう勢いで生きられる。子供たちも「ママは(他所の)人とは違うから」と言ってくれるようになりましたね。自信が出てくると、加速度的に色々なことが変わっていきました。
ーーご家庭における三上さんの役割や、外でお仕事をされている三上さんの役割以前に、三上さん個人としての強さが得られたということですよね。
三上 そうですね。
ーー少し遡ってお話を伺いたいのですが〈essence:〉に通われるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
三上 元々、事業をやりたいと思ってはいたけど、いまいちパッとしなくて。それで、月に一度の、起業家など色々な方を呼んでの勉強会に入ったんです。時間が合わず、欠席することが多かったんですけど、ある時に「今回の人は面白いから是非来て!」と、他の参加者の方が連絡をくださって。「どんな人?」と聞いたら「メイクとかやってる人なんだけど」と。その時の私は、人に覚えてもらえない、敵は出来ないんだけど印象に残らない人だったんですね。それが自分の良いところではあるけど、弱さだよなと思っていて。それで、そんなに面白い人が来るならと参加してみたんです。Zoomでの会でしたが、そこに講師としていらっしゃったのが高城さんでした。
ーー高城さんがそういった会に出るのは珍しいことですよね。
高城 お世話になっている、知り合いの起業家の方にお声がけいただいたので参加させていただきました。なかなか珍しい機会だったと思います。
三上 何十人かが参加されていましたが、個別に質問をする流れになって。挙手して質問をしてみたものの、高城さんから返ってきたお返事が、何を言っているのかが分からなくて(笑)。いい意味で、言葉のその先が気になることばかりだったんですね。ただ、その会が終わってからネットで検索をしてみたものの、高城さんの情報が出てこない。あの人は何者なんだろう? お話は聞いてくれるとおっしゃっていた。でも、問い合わせの窓口が見当たらない。なので、会の主催者の方に連絡をして、高城さんに繋いでいただきました。
ーーこうして三上さんは〈essence:〉と出会われたわけですが、初回のセッション時のことを高城さんはどのように記憶していますか?
高城 現在の三上さんとはあまりにも違いますよね。「原石を磨いたぞ」という手応えがあります。三上さんは、ものすごいポテンシャルをお持ちの方なのに、なぜこんなにも過小評価されているのかと疑問でした。三上さんは“音楽の先生の先生”であったり、発達障害をお持ちのお子さんを指導されるご職業に就かれていますが、人を導く力がとんでもないんですよね。難しい局面においても「こう考えたらいける」ということを連続的に起こしていく。そして、とてつもなく愛情が深い。絶望していたり、もう諦めてしまいそうになっている人の、人生を変えられる人なんです。なのに、当時は人に覚えてもらえないことや、Youtubeの再生回数が伸びないなど……そこで留まっていていいような方ではないんですよね。だったらもう、振り切って美しくしてあげればいい。彫刻を彫り出していくように、三上さんの素晴らしさ、才能、ポテンシャルにふさわしい顔を作ればいいだけで。私から見えている三上さんはこうなんだ、ということを表現して、そこに三上さんご自身のメンタルもつながっていけば、自ずと輝くだろうと確信していました。
ーーもしかすると、三上さんと高城さんは職種は違えど、近いことをされているのかもしれませんね。
三上 私は、どういう言葉を使って生徒を導くかを先生やお母さんに伝えるんですね。その言葉をこの順番で、こういう表情で言うと、きっと子供はこっち向くから、と。生徒さんに直接会ってはいないんだけれども、ほぼほぼ全員その通りになるんです。生徒さんの場合も、顔を見た時に「この子こう思ってるな」ってすぐわかるんです。でも、それはみんなが出来ることだと思っていたんです。大したことじゃないと思っていた。それが、お話を聞いてみると、先生方もお母さんたちも、的外れでとんでもないことをやっていたりして。
ーー三上さんには、ご自身の経験に裏打ちされた、これだけ確かな技術・スキルがある。スペシャリストと言ってもいいんだと思います。なのになぜ、ご自身の個性への自覚があまり持てなかったのでしょうか。
三上 この仕事についての学びというのは、それこそ大学生の時からやってきたことですし、30年以上の積み重ねがある。それをサービスという形にして、三上を知らない人に知ってもらい、提供しようと思った。でも「パッケージを作る」ということに関しては、全くの素人なんですよね。その勉強をしに色んなところに行きましたが「私って、出来ないよな」と思っていた。あと、妙な話ですが、音楽家って「お金をもらう」とか「自分を売ること」がタブーみたいなところがあって。例えば、先生に「お月謝おいくらで? 」と聞いちゃいけないような世界。金額を設定すること、自分を売っていくことはやっちゃいけない。そういう、自分への縛りも強かったのかもしれないです。だから、起業家の仲間っていうのは全く違う生き物というか。その中に入ると、私なんか全然出来ないし「静かにしていよう」なんて思う。自己主張なんかしたら、あとで絶対嫌な思いをするから、何も言わないでおこうとしていましたね。
ーーなるほど、かなりご出身の分野とは異なるフィールドに飛び込まれたわけなんですね。現在の三上さんの佇まいからは、自信も感じられます。
三上 セッションの中で、高城さんに「緑さんがやっていることは、すごく本質的なことなんだから、自信を持ってください!」と背中を叩いてもらって。「そうなのかな」とFacebookで発言してみるわけです。そうしたら反応があったりする。こういうことをちょっとずつ覚えていくと、セールスの技術やノウハウは置いておいても「私は出来る」と思っていいのかもと思える。そういう自信をもらえるんだけど……髪が伸びる頃には、また元に戻っていたりするんですよね(笑)。それで、やっぱり2,3ヶ月したらここに来ての繰り返しなんですけど、その揺り返しの波は緩やかになってきていると思います。
ーーお仕事上での変化はありますか?
三上 高城さんは言葉を大切にされるじゃないですか。話していると「それそれ!」という言葉が出てくる。自分の中でモヤモヤとしていたことが言語化され、それを自覚することで、また自分からも言葉が出てくる。文字にしたらシンプルなものだったりするんですけど、それが強いんですよね。先生方にも「なるほど、確かに」と聞いてもらえるんです。
ーー説得力が増されると、お仕事が順調になったりもするのでしょうか。
三上 集客に関しては、特に、ここ数ヶ月で枠を越えた感じがしていますね。これまでもネット上に情報を掲載したりはしていましたが、それを見てもらうために、また別のところに情報を載せたりしていたんです。 それがいまは、電話がかかってきたと思ったら「どこで授業は受けられますか?」と、いきなり聞かれたり「緑先生は絶対に良いと言われたから入ります」と言われたりもして。
ーーすごい!三上さんの業務内容が変わったわけではないんですよね?
三上 変わっていないんです。
ーー先ほどもお話されていたように、まさに、ご自身の在り様の変化から連鎖して起きていった変化なんですね。人を見ることに長けている方でも、自分のことは見えなかったりするから不思議ですね。
高城 心理学でいうスコトーマ(心理的盲点)です。無人島で一人きりで生きていたら、自分がどんな人間なのかがわからない。けれども、そこに別の誰かが一人来た途端に「あなたは優しいね」「あなたって自分勝手な人だね」と言われて気が付けたりする。自分が相対化されるんです。だから、人は鏡なんです。
ーー「あなたの鏡になります」という〈essence:〉の哲学の通りですね。最後に「Essence」とは「本質」という意味ですが、三上さんが大切にされている「本質」はありますでしょうか?
三上 かなり重い自閉症のお子さんのピアノも指導しているんですけど、レッスン場が暑くて、着くなり洋服を全部脱いでしまったりする。そうしたら「次の人、来ますよ」と言うんです。すると「うーん?」と言って、また着てくれるんですよ。もし、小学生のうちは言うことを聞いてくれなくても、中学生にもなると「はい」って言ってくれるようになるんです。今は出来なくても、ダメだと決めつける必要はない。子供は、必ず上昇していきます。どんどん上がっていきます。出来るようになる。ただ、スピードは子供によって違うかもしれない。今はまだその時じゃないかもしれないけれど「ここが待てるかどうか」というところに、私は力を貸す。それが、今のやりがいなのかなと思っていて。だから……「待つこと」なんですよね。それが本質なんです。信用して待てるための裏付けが欲しいんですよ、親って。とりあえず3ヶ月待ってみよう、そのうちに先が見えてくるから待ってみようよ、と言ってあげる。親は、小さな変化に気付けないものだから「先週と比べて、30秒早く教室に入って来れましたよ」と、細かく伝えてあげる。ここが変わったでしょ? 昨日と比べてそれができたでしょ? と伝えていくうちに、お母さんたちも「それもそうですね」と、少しずつ待てるようになっていく。待ちさえすれば、子供たちは自動的に良くなっていくんです。